空と旅と温泉と雑想と

きれいな空や旅や温泉のこと、そして日々思ったことを書いていきます

買い物ブギーとピノキオからデオドラントを考える

買物ブギーから消えた言葉

皆様、朝ドラのブギウギをご覧になっていますか?
ラストに向けて話が収束してきましたね。
私は、2021年のカムカムエブリバディから朝ドラを観ております。
今回のブギウギもかなり面白く、毎朝視聴しています。

そのブギウギの主人公のモデルとなった、笠置シヅ子さんの代表曲買物ブギーについて、先日以下の記事を読みました。今回はそこで考えたことを記したいと思います。

president.jp

この文章の要点を書きますと、

  1. 買物ブギーは、発表時の原曲から、2つの言葉が削除されている。
  2. 削除された言葉は、現代では障害者差別用語とされている。
  3. 原曲が作られた当時は差別用語ではなかったが、レコード会社が曲を復刻する時に、差別用語を使用している箇所を削除した。
  4. そもそもこの曲は、障害者差別を助長するために作った曲ではないのだから、原曲を尊重して、歌詞はそのままが良いのではないか。
  5. 差別の実態を隠し、黙認したまま単なる“言葉狩り”でよしとすることは、不適切で居心地の悪い社会ではないだろうか。
  6. 昭和2,30年代当時は、さまざまなハンディーを背負った人々が社会にいて、健常者と障害者が助け合って生きてきた時代だった。
  7. そういう意味では、当時は現代よりももっと共生社会だったのかもしれない。

という内容になります。

この話とつながるのは伊集院光さん著の「名著の話」

この記事を読んだ時、タレントの伊集院光さんが著した名著の話の内容がつながってきました。

名著の話は、伊集院光さんが2012年から出演している、NHK Eテレの番組100分de名著が基となっている本です。
この番組は、特定の本を、専門家の先生に1ヶ月(25分×4 = 100分)の枠の中で読み解いていただく、という趣旨の番組です。
伊集院光さんは「誰もが知る名著を全く読んだことのない人代表」として、出演されています。

番組の中で紹介された本について、伊集院光さんが番組終了後に読み込んだうえで、改めて先生方と対談された内容が書いてあるのが本著になります。

私が紹介したいのは、名著の話の2冊目(名著の話 芭蕉も僕も盛っている)で、ピノキオ」について対談している部分です。

ピノキオと言うと、多くの方がディズニー映画のピノキオを連想されるかと思います。
ではピノキオの原作は何なのか?それはイタリア語が原作の童話ピノッキオの冒険(コッローディ著)というお話です。

なぜこの話と買物ブギーがつながってくるか。
それは、デオドラントという言葉が、2つの話の媒介となってくるからです。

「名著の話」で語られた、ピノキオのデオドラント

先ほども書きましたが、ピノキオと言うと、多くの方がディズニー映画のピノキオを連想されると思います。

ジミニー・クリケットの歌う「星に願いを」のメロディーとともに人びとの記憶に刻まれている愛らしい人形が、幾多の冒険の果てにむかえるハッピーエンドーその心地よさが観客=読者を捉えて話さないと行っていいでしょう。
(名著の話 P126-P127 ピノッキオの冒険を紹介している部分から抜粋)

しかし、原作のピノキオの話はディズニー映画とは違うそうです。
例えば、当時のイタリアの庶民階級の騙し騙されが書かれていたり、重要な相棒になるはずのコオロギをいきなり殺してしまったりと…

しかし、それらの部分はディズニーが映画化するにあたってデオドラントしてしまい、我々がよく知る映画のピノキオができている、とのこと。

勿論、そのことで、長年にわたり多くの人に愛される映画になったのは確かだと思うのですが、ピノッキオの冒険について伊集院光さんと対談している和田忠彦先生は以下のように指摘しています。

端的に言うと、ディズニーで抹消されているものって、たとえば匂いだったり、埃だったり、そういうものなんですよね。生きていれば確実に感じとれるものがきれいにそぎ落とされた状態で、「どうぞ」って差し出されている。
(名著の話 P166から抜粋)

デオドラントの結果、ピノキオの話はキレイになり、原作にあった生き生きとした空気感まで、削いでしまっている、ということかと思います。

デオドラントで2つの話がつながる

映画ピノキオが、原作から生々しい部分をデオドラントしたように、買物ブギーも、原曲から差別用語をデオドラントしています。
そして、デオドラントの結果、昭和2, 30年代のハンディーを持った方を包含していた、共生社会まで消してしまったのではないでしょうか。

私は昭和2, 30年代を生きておりませんから当時の実態を知りませんし、差別用語で苦しんでいる方がいらっしゃったことも事実だと思います。
しかし差別への配慮は、ただ消すことだけが解なのか?
この話は、現代を生きる私達が、真剣に考えなくてはいけない話なのだと思います。

※上で述べたように、私には知識不足の麺屋配慮にかけた部分があるかもしれません。
もしも私の書いた内容で、不快になった方がいらっしゃいましたら、お詫びいたします。

終わりに

現代はとかくデオドラントに気を使っている世の中なのかもしれません。
今回の内容が皆さんの考えるきっかけになれば幸いです。

最後に、今回ご紹介した「名著の話」の購入リンクを貼り付けます。今回紹介した「ピノッキオの冒険」以外にも興味深い話がありますので、よろしければご一読ください。
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